国際化が益々進む、近年においては、
「どこの国に税金を納めるのか?」
逆に言えば、
「どこの国がその納税者から税金を取れるのか?」という国際課税の問題が
より頻繁に発生し、かつ複雑化しています。
これは個人のケースでも企業のケースでも発生する問題で、
個人の場合は「居住国」と判断される場所で課税され、
企業の場合は、その活動の「拠点」となる場所が、当該国にある場合は
その国で課税されます。
国際的な課税において、どこの国が課税するかという判断が難しい問題は、
「租税条約」を結んでいる国同士では、租税条約によって判断されます。
又、租税条約の適用や外国税額控除によって、両方の国での
二重課税を防ぐ事が出来ます。
法人の場合
どこで課税されるかという判断における「拠点」を
恒久的施設「PE(Permanent Establishment」と呼びます。
また、その企業の業種がサービス業なのか物販業なのかなどによって、
「国際移転価格税制」の問題等も発生します。
物品の生産や流通において、どこの国を経由した方がトータルで見た税金が
低く抑えられるかという問題です。
例えば、米国に本社があるスターバックスは、税率の低いスイスの子会社から
20%の利益を乗せて全世界にコーヒー豆を輸出する事によって、
「意図的に世界全体の利益の内、多くの部分をスイスで課税される様に操作」し、
グループ全体の税金を抑えていました。
個人の場合
個人の国際税務に関しては、まず、税務上の「居住国」の判断が
最も重要な要素と言えます。
日本の税法では、国籍での判定でなく「居住性の判断」により「居住国」が
日本と判断される人は、日本人か外国人に関わらず課税対象となるからです。
ちなみに、米国の場合は米国市民及び永住権保有者は、世界中どこに住もうと
米国の「居住者」と判定され、世界中のどこに居住していても「全世界課税」といい
一定の収入以上であれば国税である連邦税の確定申告をする義務があります。
(但し、実際に住んでいる国で課税された税金は控除されます)
ですので、逆に言えば、日本人の場合は、
日本国の居住者でないと判断されれば、日本国籍保有者であっても
日本の対する確定申告や納税の義務はないという事になります。
日本の非居住者でも課税される例外
上記の様に、課税される国は自分の「居住国」ですが、
例外として、海外の居住者でも日本で課税される所得もあります。
日本国内にある不動産に関連する所得や、作家の印税、日本企業から支払われる
役員報酬等です。これらは、日本の源泉所得と言って、
日本で支払う側が20%の源泉徴収をする事によって、日本での納税は完了します。
不動産関連の所得に関しては、非居住者でも確定申告が必要です。
海外の「居住国」で確定申告する際には、源泉徴収により日本で既に納税した
税金は「Foreign tax credit」外国税額控除等により控除され、
両国での二重課税を防ぐ事が出来ます。
2007年にニュースになった話で、ハリーポッターの翻訳者さんが、
スイスに移住して、日本からの印税を節税したが、日本の国税庁が
実質的に日本の居住者と判断して追徴課税したという事がありました。
低税率国に居住国を変える節税
海外に住居を変える事により、日本の税法上の「非居住者」となり、
シンガポールの様な低税率国(タックスヘブン)で低い税金を納税する事により
「所得税」(相続税は含まず)の節税を試みる富裕層は従来より沢山おり、
近年はシンガポールや香港に移住する富裕層が増えて来た為に、
10年ほど前より国税庁も「国際課税」を強化する様になりました。
※ちなみにシンガポールではキャピタルゲイン(投資所得)は税率0%で、
所得税は最高20%で住民税もありません。
「非居住者の要件」は1年以上海外に住む事ですが、
日本にも住居があり、海外と日本を行ったり来たりしている場合、
日本の居住者とみなされる事もあります。
但し、仮に日本と海外の両方に住居を有していたとしても、
「どちらが主な住居か」という点で居住性が判断されますので、
日本に住居を残していたとしても、必ずしも日本の居住者と言う判定にはなりません。
また、「年の途中で出国した場合」どちらの国の居住者になるかという判断ですが、
これは365日の半分以上の「183日ルール」が適用されて、
その年度は、どこの国の居住者であるのかが判断されます。
海外オフショア口座の所得の日本での課税
日本の居住者が海外の銀行口座の金利収入や投資所得がある場合、
日本で確定申告の義務があります。
日本の金融機関の特定口座から海外の投資所得を得る場合は、
口座からの源泉徴収で済みますが、
海外の金融機関から直接所得を得る場合は、確定申告の必要があります。
利子や配当所得の場合、雑所得として総合課税で申告し、
株式や債券や投信等の投資所得の場合、分離課税で申告する事となりますので税率が違います。
給与所得2000万円以下の場合、雑所得は20万円以下であれば、申告の必要はありません。
※所得65万円の方は基礎控除38万円以下は申告不要。
現地国の税率が日本より低い場合、
日本の確定申告書上で「外国税額控除」を適用して、日本の税率との差額のみ
を追加で日本に納税する事になりますが、利子所得や投資所得が非課税の国や
非居住者からは源泉徴収しない国であれば日本でのみ全額を確定申告する事になります。
まとめ
1、法人の場合、課税国は恒久的施設で判断される。国際企業では、国際関連会社間での
「移転価格」の調性により低税率国で多く税金を出す様にしてグループ全体での節税をする。
2、個人の場合、課税国は居住性で判定される。判断が難しい場合は国同士の租税条約が適用される。
2、海外オフショア口座からの所得も日本で申告の義務がある。

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